2019年4月23日
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万葉の世界:レリーフと和歌のコラボレーション

先日、レリーフ作家の日影ひろみさんと万葉研究者の倉住薫さん(大妻女子大学文学部日本文学科准教授)のコラボ企画『万葉のカタチ』を観に行きました。

日影さんが創ったレリーフからインスピレーションを得て、倉住さんが万葉集から和歌を選ぶ。逆に倉住さんが選んだ和歌から着想を得て、日影さんがレリーフを作る。そうして生み出されたレリーフと和歌のコラボ作品が20点近く展示されていました。次のような作品です。右上の白字は倉住さんがレリーフと和歌のイメージから作った詩です。

会場には万葉集の和歌が並んでいました。例えば・・・

我が園に 梅の花散る
ひさかたの 天より雪の 流れ来るかも
(大伴旅人)

こうした和歌とコラボしている日影さんのレリーフは、散りゆく梅の花や降る雪が、様々な造形とやわらかい色調で表現されていて、眺めている自分のイメージを膨らませてくれます。

そうした作品の中で、別の世界を作り出している一首がありました。

天の海に 雲の波立ち
月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ
(柿本人麻呂)

私はこの歌を初めて知りました。倉住さんによると、「月の船」や「星の林」といった表現は漢詩からきているそうです。この歌は当時の中国語の詩の世界観を持っているので、旅人や家持の歌などが並ぶ中で、目立っていたのです。今で言えば、歌詞に英語を取り入れた歌のようなものだったのかもしれません。

倉住さんは私の友人です。新海誠監督の『言の葉の庭』に出てくる和歌を選んだのは彼女です。倉住さんは、万葉の歌が持つ心象風景が、現代に生きる私たちにも通じるものであることを気づかせてくれます。

日影さんと倉住さんのコラボ企画は、他の地域でも開催したいそうです。ご関心がありましたら、私にお問合せください。日影さんと倉住さんにおつなぎします。