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歩き方を考え直す

私は平成26年の2月から居合道をはじめました。もうすぐ丸4年になります。先月(11月)の最後に日曜日に、参段になりました。順調にいけば昨年のうちに参段になっていたと思います。しかし、一昨年膝を痛めて、一年近くの間、稽古が十分にできなかったので、昨年は見送りました。この膝の故障を通じて、私は自分の足と歩き方について考えました。その結果、生まれてから半世紀経った今になって、私は自分の歩き方を変えることになりました。

私が入門した居合道は無雙直傳英信流という流派です。居合道の開祖、林崎甚助重信が創案した流派です。技の体系は、正座の部、立膝の部、奥居合の部と、大きく3つに分かれ、この順番に習得していきます。私は立膝の部までの技の流れをようやく覚えたところです。文字通り、正座の部は正座した状態において、立膝の部は右膝を立てた状態において、敵からの刀による攻撃に、刀を以て対処する技が体系化されています。

私が膝を痛めたのは、正座の部から立膝の部に稽古が進んだ頃でした。正座の部では両足を畳んだ状態から、両足を使って体を持ち上げ、刀を抜きます。立膝の部では、立ち上がる時に左足だけに負荷がかかりやすく、また座った状態で体を右方向に水平に移動させる技があり、この時も左足に負荷がかかります。立膝の稽古を始めて数ヵ月で左膝の内側に痛みを覚えるようになりました。正座の部の稽古はできるのですが、立膝の部の稽古がきつくなり、結局この痛みに一年近く悩まされることになりました。

整形外科へ行き、レントゲンを撮っても異常はなく、消炎剤が処方されるだけで、だましだまし正座の部の稽古を続ける日が続きました。ある時、友人から腕のよい整体師を紹介され、診てもらったところ、「鷲足症」と診断されました。膝の内側にある鷲足筋の炎症です。痛みは強かったものの、まだ初期症状だったので、正しくケアすれば治ると言われホッとしました。この時、整体師の方に私の歩き方の癖を指摘されたのです。私の足はつま先が外に開いている状態で、足の外側の筋肉で体を押し出すようにして歩いていて、この歩き方だと鷲足筋が鍛えられず弱くなると言われました。私の靴が、踵の外側が擦り減っていることも説明がつきました。また、腹筋が弱くなることで、足は外側に開きやすくなるのだそうです。

整体師の方から言われたことは、歩き方を変えることと、腹筋を鍛えることでした。歩き方は、つま先がまっすぐ前を向くように意識するようにしました。内股になっているのではないかと感じるくらいにすると、ちょうどつま先が前を向きます。そうすると自然に腿の内側の筋肉を使うようになります。また、体を押し出すのではなく、指の付け根当たりで地面を掴み、体を引っ張るようなイメージで歩くようになりました。推進力が増した感じです。階段もつま先で登らず、なるべく踵をつけて一段一段意識して上るようにしました。スクワットと同様の効果があると、これは別の人から教わりました。こんなことを半年以上続けるうちに、気が付いたら左膝の痛みがなくなり、立膝の部の稽古もできるようになりました。

今でも、前述の歩き方を意識して歩いています。人は二足歩行します。私は子供が立って二本の足で歩くのは自然なことのように思っていました。しかし、今は、歩き方にはスキルがあると思っています。そう思うようになったきっかけは、前述の膝の故障でした。妙な言い方ですが、膝が痛くなった時、痛くなること自体が「間違っている」と思ったのです。何故ならば、他の武道と同様に居合道も長い年月をかけ、一切の無駄を排除して洗練されてきた身体運用の体系だからです。故障するような体の動かし方をさせるはずがないのです。故障するということは、自分の身体運用に誤りがあるということになります。まだ体が動くうちに、歩き方を改善できたことを、私は幸運だと思っています。これから四段を目指して精進します。